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2013-8.25 Sun 09:47
【ここ限定記事】映画「風立ちぬ」感想
観に行ったのは7月28日ですが。


いわゆる娯楽映画ではないが、私みたいな人間大好きな人は好きだろう。
例えるならいろはすみかんか、ボカロ好きの人ならみきとPの若草物語。薄味でぬるいけどみずみずしく口当たりはあざやか。
パシフィック・リムやアベンジャーズが好きな人は嫌いかもしれないが、古典的な邦画が好きな人は好きかもしれない。

話も音楽も画面も演出も、全体が淡く作られており、ド派手な見せ場やエキサイティングな展開はほぼないと言っても間違いない。ゆえにハリウッド映画好きの人やファミリーには全くおすすめしない。
このへんはもっと上手な人のレビューでも話し尽くされているのでまあ良しとする。

主人公である二郎の人間性やキャラクター性について、リアリティがないほど完全にまっすぐなキャラクター、と評する人とダメダメなひどい男、と評する人にぱっくり分かれているのが気になるところ。
私はまったく完全だとは思わずむしろ人間らしすぎるとも感じたが、ダメダメな部分に関しては描写の美しさに助けられおおいに許容できた。

病気の妻をそっちのけで仕事に没頭する姿を非難する人は多かったが、実はその批判に関しては妹が二郎に対しそのことを非難する言葉とそれに対する二郎の返答によって作中で説明されている。
「僕たちは今を大切に生きてるんだよ(うろ覚えなので部分が違うかもしれない)」という、なんとも不安定で頼りなく言い訳のようにも聞こえる言葉だが、菜穂子の態度や菜穂子と一緒にいる短い時間の中の二郎の言動を見れば二人がこの状況を受け入れ、その上で一緒にいるという選択をとっていることはよくわかる。
あまりに曖昧で儚い二人の関係は魅力的だし、その空気感は芸の細かい丁寧なアニメーションや音楽によりしっかりと裏付けされている。全体のぼんやりとした世界観ややけにやわらかそうな飛行機の描写もこれだ。
つまり、妹の非難は視聴者の違和感の代弁であり、「二人にしかわからない、淡くも固い決意」の外側の存在である視聴者からすれば「兄さんはひどい人です」の感想に至るのは自然なことなのである。

どこまでも二郎の主観的な物語であると考えれば、うまく進みすぎるストーリーやぶつ切りの過去も納得がいく。印象に残らなかった過去はなかったものと同じだ。
主観的に描かれる映画ほど賛否両論を呼び、客観的で大衆向けの映画ほどクオリティに評価が直結する。この映画は前者に大きく振ったものだったのではないか。

ちなみにこれを抜きにしてもさすがジブリ、端々までアニメーションは美しいので、この映画の意義が全く理解できなかったとしてもじゅうぶんに見惚れていられる。
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